| ■ 近視進行抑制のおはなし |
| 近視人口は世界的に急増しており、特にアジアの先進諸国においては80-90%の若年者が近視と報告されています。文部科学省の行っている学校保健統計調査では1950年代の、未成年者の近視の割合は、小学生で6%、高校生になっても12%程度でした。それが、2012年度の調査では、視力が1.0未満の子供の割合は、小学生 30.7%、中学生 54.4%、高校生に至っては 63.8% 、2024年度の調査では小学生の37.8%、中学生の60.9%、高校生の67.8%という驚くべき結果が出ています。近視の進行は年齢が低いほど進行しやすく重度の近視の場合、緑内障、網膜剥離、黄斑変性症、白内障の早期発症のリスクが高まるなどの悪影響があることがわかってきました。一方、眼軸をできるだけ伸ばさないための研究も積み重ねられ、近視の進行は抑制できるようになりました。オルソケラトロジーは、近視の矯正が得られるだけでなく、近視進行をおおよそ32%〜63%抑制し、多焦点ソフトコンタクトレンズは近視進行を59%抑制することが分かってきました。0.01%〜0.05%アトロピン点眼には、点眼を行わない場合と比べて、近視進行をおおよそ30〜70%抑制する効果があることがわかりました。 そして2024年12月についに国内で初めて近視進行抑制点眼薬が承認され、2025年4月21日に参天製薬の点眼剤リジュセア®ミニ点眼液 0.025%が発売されました。 |
| 近視の原因として遺伝的な要素と環境的な要素があり,それらが複雑にからんで近視になると考えられています。遺伝的な要素とは親に顔や背丈が似るように眼の形も似て眼の長さが長くなることです。それにより、焦点が網膜の前に合い近視となります。遺伝的な要素による近視の回復は難しいですが、メガネは必要であればかけなくてはなりません。ただし、過矯正のメガネは近視を進行させると考えられているので絶対かけてはなりません。過矯正のメガネにしないためには、本人の近視の度数を詳しく検査してからメガネを処方する必要があります。また、片親が近視の場合は2倍、両親が近視なら8倍のリスクがあるといわれています。ただし,一卵性双生児(まったく遺伝子型の同じ兄弟)でも片方だけが近視になる場合があることから,環境的な要素も重要であることがわかります。次に述べる仮性近視がこれに当てはまります。 |
| 仮性近視(調節緊張)とは? |
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以前は学校近視と言われていた事があります。 仮性近視とは、近くを長く見続けた結果、レンズの厚さを変える毛様体筋が異常に緊張してレンズが厚くなり、一時的に近視化している状態を言います。ただし経験的に本当の仮性近視である方は少ないように思います。 治療としては、 (1)目の毛様体筋を休ませる点眼薬の使用 (2)目の毛様体筋を休ませる機械での訓練 (3)日常生活上の注意などがあります。 |
| 最近、小児の近視の進行抑制に有効と分かった方法 |
| @ リジュセア®ミニ点眼液 0.025% |
| 近視進行抑制点眼薬アトロピン硫酸塩水和物(商品名リジュセア®ミニ点眼液点眼液0.025%)を1回1滴、1日1回就寝前に点眼する方法。低濃度アトロピンは網膜や強膜のムスカリン受容体経路に作用すると考えられています。すなわち、網膜や強膜に直接的または間接的に作用して強膜が伸びるのを抑制し、眼球の軸方向への伸長を抑えることで近視の進行を食い止めると考えられています 。この治療法は画期的なもので、この治療法が広く普及して近視の子どもが劇的に減少する時代が来るのではないでしょうか。 |
| ● 副作用は? |
| 通常の濃度のアトロピンは副作用が強い? |
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もともと高濃度の1%アトロピンは斜視や弱視の診断の為に、検査用目薬として使われています。 効果は強力なピント調節麻痺作用と散瞳(瞳孔を開く)作用がありますので、実際に使用すると近くはピントが合わず見づらくなり、散瞳で普段より多くの光が眼に入るので眩しく感じます。全身症状として顔面の発赤、発熱することがあります。 更にその効果は約一週間は持続します。リジュセア®ミニ点眼液点眼液0.025%は近視進行抑制の効能効果をもつ国内初の低濃度アトロピン製剤です。防腐剤無添加の使い切りタイプになっており、さらに衛生的かつ安全に使用可能です。従来の点眼よりも散瞳(瞳孔が開くこと)が軽減され、眩しさも減る可能性があります。尚、約10%の方に眩しさあり、1%の方が中止となっています。8時間位が最大効果時間となるため、起床後に眩しさを感じる場合は、点眼時間を就寝直前から夕方にすると軽減されます。稀に手元の見えづらさを感じるお子さんもいます。 |
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※近視抑制治療は、自費診療(保険適用外)となります。 |
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低濃度アトロピン点眼 参天製薬が日本で初めて近視進行抑制点眼剤として製造販売承認を取得したリジュセア®ミニ点眼液 0.025%(アトロピン硫酸塩点眼液)を発売しました。本剤は、薬価基準未収載医薬品として販売予定のため、健康保険等の公的医療保険の給付対象外となります。 当院ではリジュセア®ミニ点眼液0.025%を新たに採用し、5月よりこちらの点眼薬へと移行します。リジュセア®ミニ点眼液 0.025%およびオルソケラトロジーにおける”近視”病名に関わる診療は、(治療継続の期間に限り)受診日を問わず全て自由診療となります。 花粉症や結膜炎など近視が直接関係ない病気には、同日でも保険診療が可能になりました。 ◎近視進行抑制治療の費用について |
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検査後、適応と判断されれば治療開始となります。副作用等がなく、治療継続に問題なければ、定期的に効果をモニタリングします。治療は事前予約が必要です。 ご希望の方は事前にネツト予約してください) 検査・薬剤費用は全て自由診療(公的医療保険の対象外)となります。 治療スケジュール 費用(税込) 初回 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(4,380円/箱) 検査項目:視力・屈折・眼軸長測定検査・診察 2回目(初回から1ヶ月後) 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(13,140円/3箱) 検査項目:視力・屈折・眼軸長測定検査・診察 3回目(初回から3ヶ月後) 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(13,140円/3箱) 検査項目:視力・屈折・眼軸長測定検査・診察 ※3回目の治療以降は3ヶ月毎の定期的な通院が必要です。診察・検査費用(税込2,000円)及び点眼薬費用(3ヶ月分13,140円/3箱)が必要となります。 注)リジュセア®ミニ点眼液0.025%による治療は自由診療です。 なお、副作用等で治療を中止した場合でも、一旦処方した点眼薬については原則、返品・返金に応じることはできない旨、あらかじめご了承ください。 ジュセア®ミニ点眼液0.025%のお試しがあります。5本1000円で5日間お試しいただき継続できるようであれば、1カ月分購入してください。購入する際には、必ずお試し時にお渡しする同意書にサインをしご持参ください。 この時点から近視抑制治療が始まります。近視抑制治療が始まりますと、近視に関わる医療行為は全て自由診療となります。(メガネ、コンタクト処方、学校健診の視力検査) 近視抑制治療を辞めた場合もとの保険診療に戻ります。 |
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※全ての検査とお薬代が自費診療となります。また、近視の病名に関しての保険診療との併用はできませんので、保険で受診の際はまた別な日に来院していただきます。ご了承下さい。 ※ 点眼のみのお渡しはしておりません。 |
| A 就寝時コンタクト(オルソケラトロジー) |
| 夜間睡眠中にハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形を平坦化して近視を矯正する方法です。 朝起きてレンズを外した後も一定時間角膜の形が保持され、日中はコンタクトレンズやメガネを装用せずに裸眼で生活することが可能です。レーシックとは違い手術のいらない視力矯正用のコンタクトレンズです。近年では近視抑制効果についての研究、発表も行われております。オルソケラトロジーレンズの歴史は古く、現在ではアメリカをはじめ世界各国で治療が行われています。メガネ、コンタクトレンズ、レーシックに続く視力矯正治療として注目されています。日本では筑波大学の平岡考浩先生が8歳から11歳の小学生に2年間の追跡研究をおこない、近視進行を抑える効果があることを報告されています。 |
| オルソケラトロジーによる視力矯正の仕組み → こちらへ |
| B 拡張焦点深度型多焦点コンタクトを用いた近視抑制 |
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拡張焦点深度型多焦点コンタクトレンズは遠・中・近の度数がリング状に連続しており、網膜周辺部の前方フォーカスを行うことで眼の伸長(眼軸長)を抑制し、近視進行を抑制します。2019年の国際近視学会では30%~40%の近視進行抑制効果が報告されており、これはオルソケラトロジーの近視抑制効果とほぼ同等程度です。当院ではこの拡張焦点深度型(EDOF)のシード1day Pure EDOFを採用しました。 但しオルソケラトロジーは夜間の装用で親の管理下ですが、多焦点コンタクトを使用する場合は日中に使用する使い捨ての1日タイプのコンタクトのため自己管理、つまりコンタクトの装用を自分でできる事が必要条件となります。 全てのコンタクトは正しい使い方をしないと角膜に傷を作ったり炎症を起こしたりすることがあります。正しい使い方をすることでトラブルは防げ、トラブルが起きても放っておかず眼科医の診察を受けることで重症化することはありません。 |
| 拡張型焦点深度型(Extended Depth Of Focus)1day Pure EDOFについてはこちらへ → |
| C 外で遊ぶ |
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ドーパミンの分泌が運動機能やホルモンの調節、意欲や学習、プラス感情などにプラスの作用をもたらしてくれるのは医学的にも証明されていました。このドーパミンが日光にあたる事によってアマクリン細胞への作用によりドーパミンが分泌され、眼球が伸びて目に入った光の焦点が合わなくなるのをのを防止し、近視進行抑制をしていると考えられています。 また、最近の研究では、バイオレットライトを浴びることで、 「EGR-1」 という近視を抑制する遺伝子が活性化され、近視が進行しにくくなることがわかってきました。 太陽光に含まれるバイオレットライトは波長360〜400nm領域の紫色の光で、LEDや蛍光灯などの照明にはほとんど含まれておらず、また家のガラスや眼鏡は紫外線をカツトするので大事なバイオレット光もカットしてしまいます。 1日2時間の野外活動が有効です。熱中症にならないように帽子をかぶり水分の補給しながら野外活動をしましょう。 |
| D ロート クリアビジョンジュニアEX |
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クロセチンはサフランやクチナシ由来の天然色素成分で、近視抑制遺伝子EGR1(early growth response- 1)を活性化します。近視化で生じる眼軸延長や脈絡膜非薄化を抑制し、眼軸長14%、屈折度数20%の近視進行抑制します。身近な食品では栗の甘露煮1個(20g)あたりクロセチン0.028mgが含まれています。 ロートクリアビジョンジュニアEXⓇには「クロセチン」が7.5mg含有されてます。6才から服用でき、味は無味無臭の小粒なソフトカプセルです。 一般で販売されているロートクリアビジョンジュニアには、「クロセチン」の含有量は2. 5mgと少量しか入っていません。 1日2時間、週14時間の野外活動が近視抑制に有効なことが分かっていますが、これは太陽光に含まれるバイオレットライト(太陽光に含まれる波長360〜400nm領域の紫色の光)が「EGR-1」という近視を抑制する遺伝子の活性化するためだという発表があります。クロセチンも同様に近視抑制遺伝子EGR1を活性化します。 1箱 1カ月分 ¥3240(税込) |
| E 正しい姿勢で明るいところで勉強や読書をしましょう。 |
| 背筋をきちんと伸ばして目と本は30cm離して読みましょう、寝転んで読んだり、バスや電車の中で読んだりしないようにしましょう。勉強や読書を30分ぐらいしたら、20秒くらい遠くを見て目を休ませることも必要です。照明は300ルックス以上の明るさが必要です。部屋の照明以外に白熱電球なら40〜60W、螢光灯なら15〜20Wの追加照明がある方がよいでしょう。蛍光灯はばらつきのないインバータ型が推奨されます。 |
| F 適度に目を休めて運動もしましょう。 |
| テレビやパソコンの画面は40分以上見続けないようにし、1時間に1回は目を休めましょう。ファミコンなどのテレビゲームは一日に60分以内にしましょう。休憩の時、出来ることなら遠くの景色を見ましょう。戸外で遊ぶのも良いでしょう。ゲームボーイ、メール等の小さな画面の固視も長時間毛様体筋を緊張させるのでよくありません。最近,大人でもメールのやりすぎで近視化している人が見られます。 |